はじめに
行政法の学習を始めた直後に、多くの人が戸惑うポイントがあります。
それは、民法で身につけた「当事者同士は対等」という感覚が、行政法ではそのまま使えない場面があることです。
コタロー
民法では、売主と買主、貸主と借主みたいに、基本は対等な関係として考えました。行政法でも同じ感じで読めばいいんですか?
ワンブル先生
出発点としてはよい視点です。ただし行政法では、行政が公権力を使って国民に働きかける場面があります。そこでは「対等な私人同士」とは違う発想が必要になります。
公法と私法のざっくりした違い
法律の世界では、大まかに「公法」と「私法」という分け方があります。
公法は、国や地方公共団体と私人との関係、または国家機関同士の関係を扱う分野です。行政法や憲法が代表例です。
私法は、私人同士の関係を扱う分野です。民法や商法が代表例です。
民法の常識がずれる場面
民法では、契約をするかどうかは原則として当事者の自由です。条件が合わなければ契約しない、納得できなければ交渉する、という発想が中心になります。
一方、行政法では、行政庁が許可、不許可、命令、取消しなどの形で、国民の権利義務に一方的な影響を与えることがあります。
コタロー
一方的に決められるなら、国民はかなり弱い立場になりませんか?
ワンブル先生
そのとおりです。だからこそ、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法などで、行政の行動をコントロールし、国民が争うための仕組みが用意されています。
試験では何が問われる?
行政書士試験では、公法と私法の抽象的な定義だけを聞くよりも、具体的な制度の中で「これは行政処分なのか」「どの手段で争えるのか」といった形で問われます。
まず押さえるべき読み方
行政法の問題文を読むときは、次の順番で確認すると混乱しにくくなります。
チェックリスト
- 登場人物に行政庁がいるか
- 行政庁が公権力を使っているか
- 国民の権利義務に具体的な影響があるか
- 不服申立てや取消訴訟で争う場面か
- 民法のルールだけで処理していないか
まとめ
公法と私法の違いは、行政法の入口です。
民法の知識はもちろん大切ですが、行政法では「行政が公権力として動いているのか」という視点を加える必要があります。
まずは、私人同士の対等な関係なのか、行政と国民の公的な関係なのかを意識して、問題文を読む練習をしていきましょう。